後の十三夜月2014/11/07 01:01:00

ツキが無い…空にも小生にも。 此夜はM13の月を見たかった… 御月様には前回も皆既月食を空振りさせられたので、今度こその想いで雲の動きをチェック。 雲間から僅かに覗く姿でも、と淡く期待して暗く為り掛けた海岸へ。

後の十三夜月-02
彼方の颱風から届けられる大波は、明らかに遠くから来たと云う感じで周期が長い。 大波が砕けても塩は余り飛んで来ない。 普段はサーファーの居ないエリアなのだが、此の時は沢山の海象(セイウチ笑)が沖へ出て居る。

後の十三夜月-04
動画を撮る人、

後の十三夜月-03
彼氏の戻るのを待つ彼女…中々多様なシーンでは有るが、肝心の空は皆既月食の時以上では無く、虚しく撤収。

次の期待の晴間は午前4時。 更に早起きをして、普段よりも20分程早く一番電車に向かう。 沈み掛けて居る筈の月の姿は地平線を覆う雲の中。 1時間前なら雲間に浮かんで居たのでは無いかと悔やまれる。 しょんぼりと駅に着くと、シャッターが上がるタイミング。 流石に駅に一番乗りは人生初めてだ(笑)。

後の十三夜月-01
フォトは以前に撮った齢13の月。
何故、そんなに此の月に拘ったかと云うと、「171年振りの名月」だったからだ。 天文現象的には変わった事は無い。 171年振りなのは、「後(のち)の十三夜」。 中秋の名月と並び愛でられる「十三夜月」は、旧暦の9月13日に見られる月の事だが、2014年は旧暦では9月がふたつ有るのだ。 ふたつ目の9月は「閏(うるう)9月」。 メトン周期等、細かい説明は他に譲り、簡単に触れて置こう。
旧暦(太陰暦)は月の満ち欠けに依存するので、1年の日数が太陽暦とは異なる。 旧暦のひと月は29.53日なので、1年は此れを12倍して、354.3日。 詰まり、365日とは、11日程度の差が生じる。 1年で11日もズレて行くので、3年で1ヶ月、10年も経つと季節がひとつ狂う結果に為る。 此れを調整する為に設けられたのが、閏月だ。 閏月が入るタイミングは19年に7度、即ち2年8ヶ月か2年9ヶ月毎と知れる。 そんな事情で、閏9月が171年振りに生じた次第。 此の閏9月の十三夜月を「後(のち)の十三夜」と呼ぶ。 誰だ、ミラクルムーンなんて呼ぶのは。 残念乍、3回目の名月も見られなかったけれど、こう云う年は「片見月」とか無いのかしらん? 3回観ないと駄目なのかな?? 171年前の1843年は天保14年。 此の時代に活躍して居た人で、「後の十三夜月」を眺めて居そうなのは…83歳の葛飾北斎は一寸無理かな。 歌川広重(安藤広重の呼名は正しく無い)は46歳なので観て居そうだ。 滝沢馬琴も既に76歳。 おぉ、遠山の金さんは丁度50歳だ。 青年、勝海舟は未だ二十歳だが、そんな余裕は無かったろう。 近藤勇、土方歳三は、9歳と8歳ね。 毎日、銅像に拝謁してオフィスに向かう渋沢栄一さんは未だ3つだと。 次に閏9月が生じるのは、2109年だから、孫でも難しいかな?
「旧暦」とは、厳密には太陰太陽暦のひとつで有る「天保暦」の事なのだが、此れは其の翌年、天保15年(弘化元年)から使われ始めて居る。 今回は天保暦始まって以来の閏9月だったのだ。 旧暦の仕組を紐解くのは面白い。 「2033年問題」とか…誰も知らないし、知る必要も無いのだが、此の年は天保歴始まって以来の試練の年で、中秋の名月を9月8日とするか、10月7日とするか、定まって居ない…筈。(国立天文台のHPに詳しい情報が有る)
尚、閏8月15日の月は当然の様に「後の十五夜」と呼ばれるが、此方は天保歴制定後に5回生じて居る。其の内の3回は小生が生まれてからの事なので、「最近多いね」なのかも知れない。 因みに、1862, 1900, 1957, 1976, 1995 の各年で有った。 では、次はと云うと2052年…駄目だこりゃあ。

余談乍、名月とは旧暦の8月15日と9月13日のふたつを指すのが普通だが、もうひとつ、「十日夜(とおかんや)の月」を含めて3つとする事も有る。 此れは「三の月」とも云われ、旧暦10月10日の月を指す。 此の月を以って、収穫を終えると云う締めの御月様なのだ。 以前のオフィスの頃、30分も歩いて伺ったラーメン屋さんの「とおかんや」の名前は此の由来で有る。 亦、伺いたい物だなぁ… 2014年では、12月1日が此の御月様(月齢8.6)に当る。

コメント

トラックバック