今日のめじろ 其の560 ― 2010/11/06 13:37:12
久し振りに「金メジに伺うぞ!」、と気合いを入れてオフィスを早目に飛び出す。 暖簾を潜ると奥の院には、既に御所様の御姿が。 長らくの無沙汰を御詫びして御隣に着座。 この夜は、超限定5喰の作品が有るとの事。
先ずは、ワインを… セラーに残る本数は少ないのだが、コノスルのカベルネ・ソービニヨンをピックアップする。
御所様と同じチャーシュウを祐貴社長に御願いする。 このチャーシュウは、肉質は柔らかいし、濃い目のタレが充分に滲みて居て、美味。 渦のヒナダレよりも焦がし具合が大きいのだが、「何れが菖蒲か杜若」状態。 フォトの下のチャーシュウは、祐貴社長が、別用途に使おうとされて居るタイプ。 御馳走に為って仕舞った。 見掛けは似て居るのだが、喰感やテイストは少し「差」が有る。 うん、こう遣って、喰べ比べて見ると判るものだなぁ…
此方は御所様に御馳走に為って仕舞った、角切状のチャーシュウ。 油そばの醤油タレ(だったかしらん)に漬けて見るとどうだろう、と云うトライアル。 勿論、其れ用にデザインされたタレでは無いので、絡み具合は良く無いが、適度に醤油味が付くのは、良い感じがする。
此れがこの夜のたった5喰のスペシャル、「牡蠣の味噌」だ。 奥様のMちゃんの基本デザインが発展して出来た作品らしい。 牡蠣の旨味がスープに濃淡を醸し乍、広がって行く。 アドバイスに従って、濃く出て居る部分のスープから啜って行く。 牡蠣は好きな喰材だが、スープに使うと刳味が出たり、口が窄む様な渋味が出たりし易いのだが、其れを全く感じ無い。 そして、味噌をベースに選んだのが、亦、巧みなポイントで、めじろの優しく、柔らかい仄かな甘味の味噌に良くマッチして居る。 スープとの相性が良い細麺の断面は矩形だよね~ 渦の新しい麺と同じなのだが、兄弟、通じ合う物が有るのだろうか。 一寸、吃驚なコインシデンス。 で、5杯は、御所様、Sさん、1さん、FILE & D さんと小生の御腹に収まった。
新たに提饗される、油そばの醤油バージョン(生玉子が添えられる)をDさんが頼まれたのを1枚。 とても美味しそうだ。 次回は此れを頂こう。
この夜は、御所様と一緒のタイミングで帰宅。 「ハイ、出来るだけ金メジには伺う様に致します」です。
今日のワイン 其の488 ― 2010/11/06 17:35:20
ヌヴィアナ コドーニュ テンプラニーリョ・カベルネ・ソーヴィニヨン
Nuviana Codorniu Tempranillo Cabernet Sauvignon 2008
Nuviana Codorniu Tempranillo Cabernet Sauvignon 2008
墓参の後に奥さんと伺った naginicai での2本目は、西班牙のボトル。 カヴァで有名なコドーニュの1本。 バルセロナの北西に位置するこのワイナリーの名称、「ヌヴィアナ(Nuviana)」とは、NUVIS (NEW)、VINO (WINE)、VIDA (LIFE) の造語だそうだ。 ホームページでは「新しいワインと生活」と邦訳されて居たが、「新しいワインの日々」が良いと思うんだけど… テンプラニーリョ60%、カベルネ・ソーヴィニヨン40%だから、云わずと知れたタイプだろう。 でも、この格付け無視の野心的な混ぜ合わせは、成功したとは、小生には思えない。 何と云っても、安価に造り過ぎた。 其処は狙いだったのだろうとは思うが… サッポロビールが付けた値段は4桁だが、実勢価格は900円程度だ。
驚いた事にバックエチケットに「明るいガーネット色と深いチェリー色」と書いて有る。 実際に見る事が出来るボトルの中の色を説明して居るのは珍しいが、小生の目はこの説明を理解出来なかった。 naginicai は暗いからね。 小生なら、「紫掛ったやや濃い目のガーネット」と云う色だ。 明らかなベリー系のブーケだが、そう思って嗅ぐ所為か、ふたつの葡萄の特徴香が並行して届く様な気がする。 ふたつのスパイシー感が混ざらないで、だ。 口に含むと、意外にも最初は酸味なのだが、何と云うか、少し前迄はフレッシュだったんじゃない? と云うイメージ。 バランス感に薄く、纏まらないイメージなのは、抜栓してからの時間の所為かな。 更にボトルの温度がやや低いので、本来の厚みが無く、ゴクゴクと云う感じで飲んで仕舞う。 オークチップで付けた感じが、好きな人に受けそうだが、小生の嗜好とは一寸違うボトル見みたいだ。 次回は、抜栓直後からの変移を感じて飲みたいな。 ネットで比較的良い評価を見掛ける事が有るが、其の多くが2005年ヴィンテージのボトルの様だ。
今日のワイン 其の489 ― 2010/11/06 19:44:03
フランシス・フォード・コッポラ ディレクターズ・カット カベルネ・ソーヴィニョン アレキアンダー・ヴァレー
Francis Ford Coppola DIRECTOR'S CUT 2007 Alexander Valley CABERNET SAUVIGNON
Francis Ford Coppola DIRECTOR'S CUT 2007 Alexander Valley CABERNET SAUVIGNON
と、或る夏の日曜日の夕方に思い立って抜栓。 以前に娘の処にこのボトルを送った際に参考に、と手許にも1本保管して置いたと云うボトル。 云う迄も無く、コッポラさんはあのゴッド・ファーザーの監督さん。 ナパに行った際にワイナリーを訪ねたのは、90年代初めの頃だったかな。 ソノマにワイナリーを開いた時にリリースしたのが、如何にも、って名前の「ディレクターズ・カット」。 エチケットも映画のフィルムのイメージだろう。 今の映画はフィルムなんて使わないんだろうが。 尚、このフィルム上の絵は葡萄毎に違う。
実は監督のカベルネ・ソーヴィニヨンは、イマイチ好みで無かったと云うのが、正直な処。 監督のネームバリューは今でも凄いので、レストランのリストプライスでは15000円位は平気で付けられて居るのだが、こう為ると触手が伸びない。 だが、このボトルは中々好みのカリフォルニアのCSだった。
暇だったので、デキャンタージュをする事や飲むタイミングを計って温度管理。 デキャンターやグラスの温度もアジャストして見た。 で、折角なので、愛用のフランネル仕様のデキャンターもフォトテイクして見た。 奥さんは、E-PL1 の「シャッター半押」が出来ないのよねぇ… 背景が凄いのは御愛嬌と云う事で(笑)。
デキャンタージュの前から、小生の好きなカリフォルニアのブーケが部屋に満ちて来て居た。 バニラ様の樽香やコーヒーとペッパーにスパイス… おぉ、ナパ、じゃなくてソノマか、明るい陽光が射して来る様じゃないか。 液体の色は濃くて黒いガーネット。 グラスよりもデキャンターの色の方が実際のイメージに近い。 因みに照明はトラディショナルな電球。 徐にデキャンターからグラスに移すと、何処かにクリープ(粉ミルク)の香り? 口に最初に広がるのは、意外にも酸味。 強い訳では無いが、この手のボトルでは、余り感じない様な気がして居た。 勿論、タンニンは御立派だが、口を窄める様なタイプで無く、太くて柔らかで…そう、縁の下から液相全体を支えて居るイメージだ。 酸味が徐々にこの液体の奥深い処に沈んで行く様に為ると、甘味を感じる様に為って来る。 この甘味と本来のビターっぽさが、旨く調和してアフターからフィニッシュへ。 上手く計算されたシナリオで、流石は監督(笑)だ。 テイストに含まれるのは、リッチなブラックベリーやダークチェリーは云う迄も無いが、杉の若枝の様なニュアンスが面白い。 恐らくは此れが、アレキサンダー・ヴァレーの「ユーカリ香」なんだろうな。