撮って見た 其の432012/04/30 15:32:00

姫踊子草(ヒメオドリコソウ)
撮って見た 其の43-1
シソ科オドリコソウ属の二年草だが、踊子草の半分程のミニサイズなので、「姫」を冠された。 早いと2月には花を付けるし、遅いと11月でも咲いて居る事が有る。 最近に為っても何処の空地、いや石垣にさえ根を張って居る。 そんな「現代雑草代表」の様な花。 同属の「仏の座」と間違えて紹介して居るホームページも有る様だが、確かに両者が並んで咲いて居る事も珍しく無い。 欧州から日本に遣って来たのは明治中期(明治26年に東京の駒場で発見された)で、あっと云う間に広がった。 手折ると臭い… 通常、上部の葉はフォトの様に紅紫色を帯びる。 時に全部の葉がこの色に染まる事が有る。 逆に上から下迄全部緑色の葉と云う群落を見掛けた事も有った。 環境に依るのだろうな。 一方、アルビノ個体の白花も有るそうなので、此方にも一度、遭遇したい。(除草剤で白く為ったのも有るから紛らわしい) 紅葉姫踊子草(切葉姫踊子草)と云う仏の座との交雑種?も有るそうだが、気が付いた事は無い。 此れも帰化植物で日本で交雑した訳では無い様だ。
唇形花の雄蕊と雌蕊は、上唇に包まれて居て、覗き込む様にしないと見る事が出来ない。 以前に仏の座の記事等でも書いたが、果実には乳白色をしたゼリー状のエライオソームが付いて居て、蟻等に運んで貰うのに都合が良い。


大犬の陰嚢(オオイヌノフグリ)
撮って見た 其の43-2
子供の頃から早春のイメージシンボルの様に眺めて来た花は、ゴマノハグサ科クワガタソウ属の越年草。 ボケも可愛そうな命名だったが、この花はもっと酷い。 「フグリ」とは陰嚢の意味で、実が雄犬の其れに似たハート型をして居るので、この名前が付いた。 だが、この花の実はそんな形をして居ない。 日本の固有種で有るイヌノフグリに花が似て居るのが、欧州原産の帰化植物(1887年に東京で定着確認)の悲劇だった。 「瑠璃唐草・天人唐草・星の瞳」等と呼んで差し上げたい物だ。 因みに英語表記では、"Cats eye" とか、"Birds eye" と呼ばれて居る。 矢張、「瞳」の様だ。 花言葉は責めてもの、「誠実」と「清浄」。
「星の瞳」の別名と同じイメージの句を高浜虚子が詠んで居る。

  いぬふぐり 星のまたたく 如くなり

この「いぬふぐり」は、恐らくは「オオイヌノフグリ」だと思って居る。

近縁種にはイヌノフグリの他、タチイヌノフグリ、フラサバソウ等が有るが、何れの花も小さく、オオイヌノフグリが「大」の字を貰ったのにも納得が行く。 元祖イヌノフグリは、繁殖力旺盛の外来種に駆逐されて、今や絶滅危惧II類に指定される程だ。 オオイヌノフグリにレンズを向けて居ると、面白い事が判る。 この花柄は非常に細いので、虫が止まると花は撓垂れて揺れる。 振り落とされない様に足掻く虫は勢い、雄蕊と雌蕊に獅噛み付く。 で、受粉と云う次第。 更に聞いて驚いたのは、自家受粉もすると云う話だ。 此の1日花は、萎む夕方に為ると雄蕊が閉じて、雌蕊に花粉を付けると云う。 そりゃあ、ドンドン増える訳だ。 オオイヌノフグリにも白花が有るそうだが、姫踊子草同様に除草剤の影響に依る物が殆どで、純粋のシロバナオオイヌノフグリは幻の花だ。

前年の記事で、「オオイヌフグリ」と「ノ」を付けずに紹介して居るのを訂正して置きたい。

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