撮って見た 其の422012/04/30 08:15:45

一人静(ヒトリシズカ)
撮って見た 其の42-1
見掛けなく為った… 子供の頃には、我家の庭でもこの不思議な花を見付けられたのだが、今では「二人静」だけが小さな花を付けて居る。 そんな事情も有り、この花に思わず「あ、二人静だ…」と呟くと、「ちがぁうよ、一人静…」と高校時代の恩師が、授業と同じ口調で正して下さる。 あっと云う間に過ぎ去った40年の時を越えて、あの時の光景が甦る。 理系を目指した小生が歴史の点数だけは悪く無かったのは、この方の御蔭だ。 当時の大学入試は、理系でも歴史科目が必須だったので、随分助かった物だ。
昔語りをもうひとつ。 歌手のちあきなおみさんは、中学の先輩。 彼女がこの花を歌って居た筈…と、調べて見たら、山崎ハコさんがカバーされて居る事を知った。 佳曲に響く。

撮って見た 其の42-2
フォトの背景の白は、桜の花弁。
センリョウ科・チャラン属の多年草だが、変わった花で花弁も萼も無い。 白く花弁に見えるのは、雄蕊だ。 フォトの茎色は紫褐色だが、「青軸一人静」と云う緑色の茎の種類も有る。

花穂ひとつ一人静の名に白し            渡辺水巴

花言葉には、「静謐/隠された美/愛にこたえて」等が有る。
花名の由来が、ひとり舞う静御前に由来して居る事は良く知られて居る。 別名には「吉野静/吉野御前」が有るが、能の「吉野静」の主題の様に、義経が隠遁して居た吉野で彼女が舞った事に由来する。 この他には、「眉掃草(まゆはきそう)」と云うのが有る。 歯間ブラシに見えた小生のセンスよりも、化粧道具に見立てる方が優雅で有る事は間違いない。

撮って見た 其の42-3
静御前が鶴岡八幡宮社前で頼朝に白拍子の舞を強要された時に、手にして居たであろう深山苧環もこんな姿で咲こうとして居た。 其の歌を今一度、掲げて置きたい。

しづやしづ しづのをだまき くり返し 昔を今に なすよしもがな
吉野山 峰の白雪 ふみわけて 入りにし人の 跡ぞ恋しき

虚実綯交に伝わる彼女の生涯を、じっくり紐解いて見たいと思って何年に為るだろう(汗)。

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