今日の蔦 其の88 ― 2013/07/30 23:23:00
「~旬の彩り~ 新小麦のつけそば」
どちらを先にするかを結構考えた。 悩んで決めた火曜日の昼休みは、巣鴨へ。 此の週はスケジュールがタイトで、「麺ローテーション」に苦労する。 SPを確保してベンチに座して暫くするとドルさんが到着。 栄光の初杯は2番手の方に御譲りして、待時間の相手をドルさんに押し付ける(笑)。 御陰様であっと云う間に開店時刻に。 此のタイミングで25人程が並ばれて居た。 全員が「小麦ヌーヴォー」狙いでは無いのは勿論だが、30喰用意された作品は夜には売り切れて仕舞うだろう。 そう、昼15、夜15喰に分けて提饗されるのでは無く、1日通しで30喰なのだ。 券売機の一等地に有る大きなボタンは980円。 責めて3桁価格に、と云う祐貴君の計らいだろう。
麺はやや平たい太麺で色は浅黒い。 前日にKABOちゃんで見たのと同じ色合だ(当然か)。 先ずは麺を直喰。 丼のエッジに盛られたカシスマスタードを塗してワシワシとボリュームの有る麺を頂く。 小麦粉の風味とモチモチワゴワゴの歯触、舌触を楽しむ。 素朴で風雅で… 好きな味わいの麺だ。
漬汁は田舎風の味わいを町風にアレンジした、と云うか… 洗練された都会の端麗さよりも、暖かい土の畑の雰囲気だ。 蔦らしいクリアな醤油をベースにポルチーニのオイルとパウダーを加えたそうだ。 屹度、此れが少しスモーキーなニュアンスを齎すのだろう。 ま、難しい事は判らないのだが… マイルド感はカシューナッツペーストだそうだ。 其処に軽く炙った夏野菜が加わって居る。 此処から爽やかな甘さが溶け出すのだろう、心地良い旨味に溢れる味わいに為った。 もう、「漬汁」では無く、和風スープと云う料理のカテゴリーだ。 一方で此の麺を落とすパートナーのキャラクターとしても充分に考慮して構成したと云う事なのだろう。 祐貴君のベースアイデアは麺の思想に合わせて「土」なのだそうだが、味わいからアイデアを演繹出来るスープなんて滅多に無い。 そして徐に麺を落とせば、広大な栃木の風景が広がる様だ。 そんな土地で採れそうな沢山の夏野菜は、一緒に沈むカットされたチャーシューとのハーモニーを奏でる。 尚、カシスマスタードだが、カシューナッツと喧嘩する様に感じたので、小生は直喰に限った方が好みだった。
御飯が一杯提饗される。 乗って居るホワイトソースは、当然、小麦ヌーヴォーで造られて居ると云う贅沢。 二口、三口頂いて、漬汁を投入。
丸で此の為に拵えたスープの様にマッチする。 こう云うアイデアが秀逸なんだなぁ。 味わう、楽しむ、鑑賞する、そんな付き合いが出来る作品。 流石、だ。