金星・火星と天王星 其の12015/03/05 01:01:00

天王星を見る機会は少ない、いや殆ど無いと云って良いだろう。 余程暗い空(日本ではそんな場所はもう極めて限られる)の下で、眼の良い人が漸く見付けられると云う明るさなので、「天王星の位置を正確に知って居る人」と云う条件も付く。 文字通り星の数程の糠星の中からピックアップするのは至難の技だ。 一方で双眼鏡や望遠鏡を使う様な人なら(位置も知って居るだろうし)、独特の緑青色をした此星を視野に導く事は然程難しく無い。 デジカメに収めるとしたら、前年の皆既月食が絶好の機会(赤黒月の隣に緑青の星)だったのだが、判断悪く地元の曇天に阻まれて仕舞った。 リベンジの機会は3月の初旬に遣って来た。 金星と天王星が4日に大接近するのだ。 天文薄明が終わる19時過ぎには0.4度一寸の角距離に有る筈だ。(最接近は午前4時頃) だが、問題は天気…19時過ぎから30分程しか観望時間は無い。 地平線近くに落ちては光害も酷くて観望困難なのだ。 GPVの雲予想等をチェックすると4日は勿論、其の前後の19時頃は自宅から車で2時間圏内で雲の無さそうな場所が有るのは、3月2日だけと踏んだ。 其れも自宅近辺は駄目で、伊豆半島西岸迄足を延ばさないと無理そうだ。 距離にして99キロ、辛うじて2時間とカーナビソフトが云う。 「決行」と最終判断をして西にステア。 西湘バイパス、箱根新道から三島へ降りて伊豆縦貫道と修善寺道路を経て、戸田峠から西伊豆スカイラインへ繋ぐ。 以前に娘とドライブしたコースは懐かしいが、新たな自動車専用道路でハイペースで走れる様に為った。 途中のコンビニブレイクで時間を喰ったにも拘わらず、2時間丁度で四阿(あずまや)がポツンと有るだけの土肥駐車場に到着。 標高は800m程だが、西方向が完璧に開けて居る。 駿河湾の対岸に静岡市の光が有るのだが、40キロ程離れて居るので、地平線近くを除くと其程気に為らない。 到着した時には女性ライダーがひとりだけ居らした。 丁度出発される処でロングヘアにヘルメットを被ったタイミング。 屹度、美人さんだったに違いない(笑)。 其後も偶に車やバイクが来るのだが、写真を2,3枚撮ると直ぐに出て行って仕舞う。 気温は8度だが、風は冷たい… 陽が落ちてからは貸切状態。

金星・火星と天王星 其の1-4
此処から北極星が見える事は事前に確認済だが、北方向は開けては居ない。 北から11度偏西(磁北からは4度)、48キロの処には富士山が辛うじて見える。 此れは「M.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 」で、換算 342mm で撮った。 1/1000 秒と云う事も有り、E-M5MarkII の手振防止機能を以てすれば、此の超望遠レンズを手持で構えるのに緊張感は無い。 先代モデルから画質がアップして居る事を感じ取れる1枚。

金星・火星と天王星 其の1-5
此の時刻に此処…なら御約束のショット。

金星・火星と天王星 其の1-6
二人の小人さん見たいにも見えるユーモラスな撮影機材。 カメラとバランスウェイトは未だ取り付けて居ないが、ポラリエはポラリスを捉えて居る、筈。 「M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8 」にソフトンフィルターを掛けて撮った。

金星・火星と天王星 其の1-7
スカートを翻して飛んで行く金髪姫を黒い悪魔(眼は太陽)が追い掛けて居る様に見える雲。 同じくソフトンフィルターを掛けて居る。 もう少し効きが弱くても良かったね。

金星・火星と天王星 其の1-8
70キロ先の桜の名所、粟ヶ岳(掛川市)に沈む夕日。 ソフトンフィルターを外し忘れて日没を撮って仕舞ったのね…変だと思った(汗・笑)。
此の5枚はトリミングをして居ない。 コンポジションの御勉強だ。

金星・火星と天王星 其の22015/03/05 02:02:00

星の明るさの等級(見かけの等級)に就いて少し触れて置きたい。 小学校の低学年だったと思うが、「一番明るい星(正確には「恒星」)を1等星、一番暗い星を6等星として、5,4,3,2等星と明るく為って、6等星の100倍の明るさの星が1等星」と習った。 星に興味を持つ様に為って、1等級差で明るさが 2.5倍違うので、2.5の5乗で100(97.66)倍と理解した。 ヒッパルコス(古代希臘(ギリシャ)の天文学者)は、随分と巧く決めた物だと感心した。 一方で「眼で見る明るさ」なんて曖昧なデータが、良くもキチンと数列に嵌った物だと云う疑問も生じた。 其れで中学生の頃に百科事典(ネットなんか夢にも出て来ない)で調べたのを思い出す。 正確で細かい話は、今ならネットで調べれば幾らでもヒットするので、此処では簡単な話に留めて置こう。
19世紀の天文学者ポグソンは、6等星と1等星の明るさの差が大体100倍だと云う当時の観測結果に基づいて、「5等級上がると明るさが100倍に為るので、1等級差は『100の5乗根(約2.512)』」とした。 片対数方眼紙にプロットすれば、リニアなラインが引ける様に「100の5乗根」は4デシベルきっかりの差に為る。 人間の眼の光感度は対数的に変化するので、星の等級も同じくロガリズムと為ったと云う訳だ。 ポグソンの定義に依り、小数点以下も付けて、5.7等星(此れ以上細かい等級はアマチュアには必要無い)などの表記も一般的に為ったし、1等星より明るい場合は、0等星、-1等星…と付けられる様に為り、肉眼では見えない星も7等星、8等星…と等級を振る事が出来る様に為った。 小生が良く使うポグソンの計算式だが、「m等級の明るさLm、M等級の明るさLMとすると、その明るさの比」は、以下の様に為る。
金星・火星と天王星 其の2-9

余談だが、ポグソンが等級の基準星にしたのは北極星で、此れを2.0等星とした。 だが、後世に為って北極星が変光星だと判明したので、「北極星野の96個の星を国際式等級の原点」と定め直して居る。 ヒッパルコスは1番明るい恒星を1等星としたので、シリウスが其れに該当した。 だが、上述の様な変遷を経て、現在のシリウスは -1.47等星に為って居る。 勿論、極めて正確な明るさを測定出来る様に為った結果でも有る。
多く誤用されて居るので言及して置きたいが、今回の話は「見かけの等級」に就いてで有る。 実際に眼で夜空を見上げた時の明るさと云う意味だが、此れを「実視等級」と呼んで居るケースが有る。 「実視等級」は「見かけの等級」とは違うので、注意されたい。


金星・火星と天王星 其の2-2

此夕の土肥駐車場から天文薄明が終わったタイミングでは、こんな位置に金星(黄)と火星(赤)が見えると云う、天体山望のシミュレーション。

金星・火星と天王星 其の2-1
ステラナビゲータで「M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8」での画角をチェック。 理想的だったので、婿殿から此のレンズを借りて来た。

金星・火星と天王星 其の2-3
思った通り、月齢11の月(フォト中には居ない、真中は金星だから)は明るい。 透明度も低く、肉眼では金星の右下の低い高度の火星(1.3等)が淡い程だが、5.8等程の天王星(矢印)が写って居ただけ良しとしよう。 ISO200 、絞開放で20秒の露光。 ポラリエ追随は20秒なら、余裕で無問題。 明るさの程度が大きさで判る様にソフトンフィルターを使った。 例のポグソン計算式で明るさの違いを計算して見よう。
金星 :-4.0 等
火星 : 1.3 等
天王星: 5.8 等
金星は天王星の何と8318倍の明るさで、火星の132倍の明るさと云う結果だ。 因みに火星は天王星の63倍の明るさと計算される。 月齢11の月は凡そ -11.5等なので、此の金星よりも更に1000倍も明るい。 って事は、天王星の830万倍ねぇ…

月が無い夜が良かったのだが、今回ばかりは止むを得ない。 オリオンやカシオペア、北斗七星の撮影は見送る事に。 気温は5度と路面凍結を心配する程では無かったが、5m程の風は身を切る様だった。
E-M5MarkII は、-10度でも動作OK等、名機が正統に進化した様に思えるが、角度に依ってはバリアングルのディスプレイがレリーズケーブルと干渉する。 インターバル撮影の機能も備わったし、スマフォからシャッターを押せる(暖かい車内から?)ので、此迄使って来た多機能レリーズを使わなくても大丈夫だ。 今回は干渉しないポジションだったので、此迄と同じくレリーズのコントロール機能を使って、BULB で撮って居る。

大接近当日の4日、夕方西の空に薄い雲越に金星と火星は見えて居たなぁ… 風が強くてコンディションは悪そうだったけれど… 何れにせよ、4日は先約が有ったので…

今日の渦 其の6112015/03/05 03:03:00

ドルさんと黒木さんを渦に御迎えするのは3回目かな。 少し早目に着いて、ワイン片手に御待ちする。

今日の渦 其の611-01
選んだワインはシチリアの「ネレッロ・マスカレーゼ」。 蝋封されて居るので、破片がボトルの中に落ちない様に気を遣う。 小生には馴染みの薄い葡萄だが、エトナ山のローカル品種らしい。 でも、パレルモは島の反対側だよね。 酸味がやや強目乍も肌理の細かい柔らかなミディアムボディ。 時間と共に力強さが備わって来る。

今日の渦 其の611-03
ケンちゃんが伊太利亜のワインですね…と、用意して呉れたカプレーゼ。 豆腐とチーズとのハーフ見たいな印象で濃くも有るが、サッパリともして居る。 強目の塩分が効いて居るのも好い。

今日の渦 其の611-02
ポテトフライ5種盛。 芋旦那御気に入りな何時もの一皿。

御二人が到着されて、一気に賑やかに盛り上がる。 御知り合いの多い御二方の御話はユニークで興味深くて、「へぇ~っ」を連発。 ケンちゃんが用意して呉れた春バージョンの摘みの数々。
今日の渦 其の611-04
生春巻にはタラの芽なんかも仕込まれて居る。

今日の渦 其の611-05
盛付も綺麗なチャーシュウ。

今日の渦 其の611-06
仏蘭西麺麭と野菜のサラダ

今日の渦 其の611-07
いぶりがっこのポテサラ。

今日の渦 其の611-09
定番と云うか名物の鶏皮餃子。

芳実オーナーも到着されて、座敷席に移動して益々ヒートアップ? そんなラストオーダーでは、「夜鳴つけそば」をリクエスト。
今日の渦 其の611-08
どんな時に頂いても好みの一杯は美味しい。 オレンジや柚子胡椒の刺激も好いね。
上りの終電は早いので、バタバタと撤収。 楽しい一夜はあっと云う間だ。