食堂酒場 グラシア 其の8 ― 2014/12/12 01:01:00
電車から浅草橋の駅に降りようとした時、「あ、一寸待って!」と女性の声。 踏み出した足を止められず、ホーム上で振り返ると俯き加減の御嬢さんが付いて来た。 其の向こう、電車の中からは咎め見る百の視線。 「さ、触って無いよね?」、声には出さずに彼女に訴え掛ける。 俯いた儘の彼女は、小生のコートベルトに絡んだヘッドフォンを懸命に解いて居た。 百の瞳も小生も状況を理解して、安堵。 幸い扉が閉まる前に「すみません…」、と云い残して彼女は車内に消えて行った。 やれやれ…待ち合わせ場所に急ぐとMさんが額に汗して迎えて呉れる。 此方も冷汗モンだったがね。 奥様のNちゃんも程無く来られて、3人でグラシアに向かう。
最初にビールで喉を潤して、
ワイン…
白は「五一わいん」のシャルドネ。
赤の1本目は、井筒ワインのメルロ。
もう一本は、チリカベ。
「アラカルトを適当に御出しします」と仰るマスターに御任せしたのは、こんな料理。
オードブル。 クリームに節とか和洋折衷でユニークなスターター。
えっと…南瓜だったかしらん?マッシュされて口当たりが良いオードブルの相方。
早速登場したのは此夜のスペシャル、「朝挽き滋養鶏のトマト煮込み」。 トマトも鶏も只物じゃなくて、ソースの美味さと鶏の味わいと柔らかさが絶妙で有る。 此れはおぃひぃ!
余程良い鶏で無いとこうは為らない、ヅケ。 柚子胡椒がピッタリで小生の好物だ。
えっとぉ… フワフワの…何だったっけ? ヤバイ、記憶が…
極上の仙台牛… 美味し過ぎて、口の奥がツーンとするのを久々に感じた。 レア具合と矢張、柚子胡椒との相性が抜群。
でたぁ~ トンテキ! 此れの味わいは折紙付きで、看板メニューの凄さを堪能。
御米も頂きたいとこんな一皿を造って頂きました。 洋喰屋さん風のテイストが美味。
カマンベールをベイクして頂く。 小生は此れがとても御気に入りなのだ。
締めと云うにはガッツリ系の和えそば。 不思議な断面の麺と濃厚な味付けを施された牛スジ肉のコンビネイションに感激。 此の麺は「ウイング麺」と呼ぶそうだが、ソースの持ち上げがとても良いので、和えそば向きなのかも知れない。
もう一杯、登場しました。 此方は汁そばだが、麺が見えない程に野菜が盛られ、特製玉子と御肉がド~ンと乗ってボリュームたっぷり。 スープにも野菜の味わいが充分に出て居て、高級肉玉子湯麺の様な印象。 此方も味わい深い。
美味しく、楽しい時間はあっと云う間で、久し振りに「終電検索」しました。 ちゃんと最寄駅で降りられたのは、褒めて上げよう。 マスター、マダム、Mさん御夫妻に感謝の一夜。
紫 くろ喜 其の59 ― 2014/12/12 23:23:00
金曜日の朝、前夜にグラシアでゆっくりさせて頂いたので、普段よりも4時間も遅い電車に乗り込む。 だが、踏切異音で止まって仕舞った。 メチャ遅れたので、オフィスは午後からとして、「紫」へ直行。 勿論、タイミングも悪くて15人程の行列の後に付く。 普段よりも人数を確認して並ばれる方が多いと思ったら、「鴨白湯そば」が限定で提饗されるとの事。 偶々列の直前の方を存じ上げて居たので教えて頂いたのだが、20杯らしい… 先日、御隣で召し上がって居らした一杯を思い出して、心が揺らいだのだが、「鴨つけそば」のターンを守った。 小生は「絶対」を付けたい位に此の作品が好きなのです。 喰券を回収に来られたダイスケさんが、小生が差し出したのを見て「流石ですね」と呟かれる。
レジャンデールと云うフランスパン用の小麦粉を使った麺はパキポキの低加水で、風味や喰感がとても好みだ。 春菊を絡めて、直喰をたっぷりすると待った甲斐が有ったと得心が行く。 鴨醤油の味わい深いスープに此の麺を浸すと真価を発揮する。 何時も思う事だが、此の作品は万難を排して遣って来るだけの価値が有る。 金曜日は花丸だ!