北温泉2014/09/18 01:01:00

今回の「大人の修学旅行」の宿泊地は那須茶臼岳に程近い、秘湯・秘境の「北温泉」。 最近でこそ、映画「テルマエロマエ」の撮影地として名前が知られる様に為ったが、辺鄙な場所で有る事は何も変わらない。

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「駒止の滝」の観瀑台の駐車場からは、
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ロープーウェイの山頂駅やゴンドラも見える。 良く登ったなぁ… 其処から急坂を400mも下ると、
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狭い渓谷に詰め込んだ様な古い建物が見えて来る。 砂防ダムの背後には崩落の爪痕が残り、雨が降る夜には泊れないかも…
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此処は高温の源泉が崖から吹き出すと云う稀有な湧出タイプの温泉。 湯湧量も多く、使われない大量の熱湯が川に流れ込んで居るが、此の水蒸気が茶臼岳からも見えた。
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空も狭くて、下弦の月が樹々の間から漸く望める…一寸誇張が過ぎるかも。 雲が広がる時間が長く、星空を楽しめなかったのは残念。 各風呂場や迷路の様な建物構造に就いては検索に御任せですが、ま、凄い処っす(笑)。
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外国人や若い女性の御客様も居らして、「天狗の湯」等の混浴風呂でも皆さんヘーキなのね(爆&汗)。


早朝に起きて天狗の湯を独占した後、近くの野草にレンズを向ける。 E-M5 をリュックの中に置き忘れて仕舞ったので、XZ-10 に期待。 流石に秘境、山の花がいっぱいで嬉しく為る。

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水引に早起きな蝦夷青亀虫(エゾアオカメムシ)の幼虫が居た。 此の亀虫は温暖な湘南では見ない。 流石、北関東の山間だと再認識。

北7温泉
草臥れた花だが、紅空木が未だ花を付けて居たので御疲れさんの意味で1枚。 谷空木と紅空木に就いては、一度検証して置きたいね。

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紫露草。 早起きしたら最初に見たい花、と仰ったのは何方だったろう… 朝の美人は此の花を措いて他に無い。 雄蕊の毛を顕微鏡で観ると、丸い細胞がネックレスの真珠の様に並んで居るのが見える。 あれは中学の頃だったか、高校時代だったか。

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狐の牡丹(キツネノボタン)。 実形が似て居るので、金平糖草(コンペイトウグサ)とも呼ばれる。 でも、喰べると結構な毒草。 其れにしても、此処の季節は晩春なのだろうか。

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Who's looking at me?
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「富士薊」かと思ったのだが、葉が違う。 Who are you?
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「雄山火口」か… 茶臼岳の御鉢巡をした機会に誠に相応しい初対面。 「オヤマボクチ」と読むなんて、判る訳が無い(笑)。 Wiki に依ると、「茸毛(葉の裏に生える繊維)が火起こし時の火口(ほくち)として用いられたことから」だそうだ。 キク科だがアザミ属では無く、自分の属を持って居る。 此れも Wiki で知ったのだが、「長野県飯山市の富倉そばでは、茸毛をつなぎに使っている」そうで、俄然、喰べて見たく為った。
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此れが咲いた処…こんな印象の犬が居た様な。

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犬蓼。 貧相な「アカマンマ(赤飯)」だが、矢張、可憐で美しい。 XZ-10 だとこんなモンか…

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秋の麒麟草。 昔は湘南にも咲いて居たのだが、見掛けなく為って居た。 懐かしく再会って気分。 見送って…のシーンをイメージして撮った。 XZ-10 も健気では有るけれど、ボケ具合が綺麗じゃないね。

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日本固有種の天人草(シソ科テンニンソウ属) シソ科にしては大きいが、小さな花から雄蕊と雌蕊が飛び出して居るので、ブラシのイメージに為る。 フォトの葉も喰われて居る(何かの幼虫も居る)が、黄金虫の仕業とか。 此の様子を天人の羽衣(破衣)に譬えて此の名前が付いた、と云う説が有る。 鹿の忌避植物なので、丹沢では大群落に為って居るとか。

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東山薊(アズマヤマアザミ)と思われる。 流石に湘南では見掛けない色の淡い薊だ。

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大文字草(ダイモンジソウ)。 我家の庭には、仲間の「雪の下」が有る。 右下の花の方が形が良く判るだろう。 尚、被さって居る葉は「蔦の葉」(どっかで聞いた様な)で、下のハート型の葉は山芋。 では、大文字草の葉は?

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XZ-10 のマクロで一生懸命に撮った、犬塔花(イヌトウバナ)。 幾重にも重なって、輪生状に咲くのを塔に見立てて此名が有る。 此花に限っては「犬」は「役に立たない」の意味では無く、「異な物」から転訛したらしい。 深山塔花(ミヤマトウバナ)との区別が難しいが、茎の毛で前者とした。

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溝蕎麦(ミゾソバ)。 何処でも見掛ける花だが、朝の陽射を遠くに受けて、色相が可愛いので、ファンタジックフォーカスを軽く掛けて撮った。

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撮りたく為る、そんな情景。 トイ・フォトフィルターで中心を強調。

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日本固有種の唐松草(落葉松草:キンポウゲ科カラマツソウ属)。 見ての通りの名前が付いた。 白く見えるのは花弁では無く、雄蕊だ。 山に来ないと見られない花だが、未だ咲いて居たとは大いにラッキー。

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何年振りの再会だろう。 もう、湘南には居ない「弟切草(オトギリソウ)」。 鎮痛剤や外傷薬として知られる生薬(小連翹)だが、平安の伝承に依ると、薬の秘密を漏らした弟を兄が切り殺したので、此名が有るとの事。 凄い名前なのでホラー系でも使われ、名前が独り歩きして仕舞い、此の可憐な花が其れだと知る人は少ない。 花言葉も「怨み」と「秘密」… 金糸梅の縮小コピー見たいだけれど、属名は此方が本家。

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日本固有種で1属1種の穂躑躅(ホツツジ)。 グラヤノトキシンを含む毒草で、此花の蜜が混入した蜂蜜で中毒を起こした事故が有った。

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やぁ、前日に茶臼岳の高嶺伊吹防風(タカネイブキボウフウ)で、御遭いしましたね。 此朝は「深山川きゅう(ミヤマセンキュウ:『きゅう』は草冠に弓)」で活動中。 羽が有ると移動も楽でしょうね。

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崖から吹き出した御湯の流れを追って、余笹川の川面を臨む処迄降りると、深い谷間にも漸く陽が射し込んで来た。 凄い蒸気は低い気温の所為も有るかも知れない。 厚手のセーターの上にウィンドブレイカーを羽織った。

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姥百合(ウバユリ)の実。 もう花は無いが、花期には既に葉が落ちて居るので、「葉」を「歯」として、歯の無い「姥」を引き合いに命名された。 此話にはトピックが多そうだね(笑)。 関東が北限とされるので、北方型で背も高くて、花数も多い大姥百合なのかも知れないが、実の数が6個なので「大」は付けなかった。 でも、高さは小生の身長位有ったけれど… ユリ科ウバユリ属。

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居た! 山鳥兜(ヤマトリカブト)。 御存知の猛毒植物で、事故ばかりで無く事件にも度々登場する。 花形が古装束の鳥兜や烏帽子、或いは鶏冠(とさか)に似て居るのが名前の由来。 名前は知って居ても、実花を見た事が無い人は多い。 今回御一緒した方も是非見たいと仰って居らした。 薬と毒は表裏だが、鳥兜の生薬は「附子」と書き、「ぶし」と云う読みだが、毒として使う時は同じ漢字を「ぶす」と読む。 鳥兜中毒では、アコニチンに依る神経障害が起きるが、其時の異常な表情から不美人を指す言葉に為った…本当?

手前の円錐花序に黄色の小さな筒状花を付けて居るのは、キク科コウモリソウ属の玉蕗(球蕗:タマブキ)。 フォトには写って居ないが、葉柄の基部に玉状の「零余子(むかご)」が有り、葉が蕗に似て居るのが名の由来。 裂けた花冠から飛び出した花柱が眼鏡の様な形に為って居るのが観て取れる。 独特の味わいの山菜だが、鳥兜を一緒に喰べると、死んじゃうよ…

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御日様と湯気と大葉子(オオバコ)と。 良い雰囲気だ…旅は好いなぁ。 宿泊されて居た外国人(多分英国人)の小母様とシェアした光景。

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輝いて居た「縮笹(チヂミザサ)」。 XZ-10 が頑張って呉れました。

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番外編:日光東照宮で見掛けた赤花(アカバナ)。 小生の大好きな待宵草が所属するアカバナ科の可愛い代表。

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