撮って見た 其の59 ― 2014/03/31 01:01:00
白山吹(シロヤマブキ)
老父の元気の源のひとつは庭弄りで、狭い庭の割には植木が有る。
先日、ふと気が付くと白山吹に黒い実が付いて居た。 勿論、黄色の花の山吹には実は付かない。 山吹の実に関しては、太田道灌の有名な逸話が有るので、実が生らない事を御存知の方が多いだろう。 「七重八重花は咲けども山吹のみのひとつだになきぞかなしき」(「後拾遺集」の中務卿兼明親王の作品は「…なきぞあやしき」だ) まぁ、此れが実話だとは到底思えない(道灌には逸話が沢山有る)が、山吹を語る際には良く引用される話。
で、白山吹と本家山吹を比べて見ると、違いが沢山見付かった。 フォトを見ると、大体花弁が4枚しか無い。 此れだけで、白山吹が山吹の仲間で無い事は確実だ。 葉の付き方も白が対生で、黄色は互生だ。 調べて見たら、「バラ科シロヤマブキ属」。 「属」を御持ちとは失礼した。 但し、一属一種だ。 (勿論、山吹はヤマブキ属) 単純に山吹に似た白い花(葉も似て居る)と云う事で命名された様だが、外国でも事情は同じらしく、英語名も「white kerria」と云う。 別名の「jetbead」は、この黒光りする果実の意味だ。
花言葉は「薄情」とは気の毒な…山吹は「気品・崇高」と云うのにねぇ。
ふるさとや白山吹の町のうら 室生犀星
犬山椒(イヌザンショウ)
ミカン科サンショウ属。 植物の名称に「犬」が付く場合は、「役に立たない」と云う意味が込められて居る事が多い。 此の植物にしても本家とは異なり、殆ど香らない。 棘が有る(「ホソキバラ」の別名が有るが、大木に為ると目立たなく為る)ので、直ぐに伐採されて仕舞う。 山椒の棘は対生だが、此方は互生なので匂いを嗅ぐ迄も無く判別は容易だ。 揚羽蝶は本家と区別しない様で、犬山椒でも沢山の卵を見付ける事が出来る。 花期は夏の筈だが、此の年は5月を前にして雄蕊ばかりが目立つ雌蕊の退化した花を咲かせて居た。 雌雄異株でフォトは雄花。 秋には花柄が赤変して美しいが、フォトの季節でも光沢の有る茎や葉柄は充分に美しい。 其の印象通り油分が多く(葉の裏や鋸歯の窪みに油点が見られる)、大宝律令には「蔓椒(ほそき)油」の記述が有る。
尚、「椒」は辛味の意味なので、名前の由来は明らかだ。 小生は本家の痺れる様な刺激はとても好みだ。