今日のめじろ 其の530 ― 2010/05/29 14:02:58
この日は、朝から夜の予定を確保に動く。 そう、金メジに伺わなくては、直ぐに3週間、一ヶ月とインターバルが空いて仕舞うし、前週は御所様から御電話を頂くと云う失態迄演じる羽目に。 まぁ、来なくて叱られるのは、有り難い事では有るのだが… 充分に早く到着した心算だったのだが、既に御所様は到着されていらした。
この日は何やら、「とってもスペシャルな作品」が饗されるとか。 この日は、赤ワインを飲みたいと持参したボトルが有る。 めじろのセラーには、もう飲みたいワインが残って居なかったのを承知して居たので、途中で調達したものだ。 物は、カリフォルニアのカベルネ・ソーヴィニョンのヘス。 其れを御覧に為った御所様に「鼻が効くねぇ」と揶揄される。 「??」…
で、其のスペシャルを見て、納得。 何と、ハンバーグだ。 此れは社長夫人のM子さんの作品。 小生、実はハンバーグは好物だ。 だが、この歳に為ると余り口にする機会が減って居たので、嬉しいサプライズ。 M子さんは謙遜されるが、とても美味しい家庭の味がする。 ラーメン屋さんでハンバーグが頂けるとは思わなかった(笑)。 此れだけで伺った甲斐は充分以上。 出来れば、月イチ位で喰べさせて頂きたいものだなぁ… 御所様では無いが、持ち込んだヘスとのマッチング上々で、偶然とは云えラッキーだ。
この日の主麺は、金メジ限定の「鯵塩」。 前週と同じ題材、いや、喰材との事。 フォトで判る様に、装いはシンプルだ。 チャーシュウ以外には、糸唐辛子と白髪葱だけ。 其処に祐貴社長の拘りと自信が感じられる。 重厚な鯵の風味が濃い。 濃くて美味しい。 執拗さが無い濃厚な魚味なのだが、刳みとか皆無で、必要な味わいだけが選択的に取り出されて増幅されて居ると云う印象。 皆さんの話に依れば、前週よりもインパクトが増して居るとの事。 麺もこの濃厚鯵に引けを取らない麺で、コンビネイションが素晴らしい。 やっぱり、代は変わっても、金メジは金メジ…なんだな。 余りサボらずに伺わねば…
今日のワイン 其の434 ― 2010/05/29 14:56:57
シャトー・グリュオ・ラローズ
Chateau Gruaud Larose 1998
Chateau Gruaud Larose 1998
「旦那さん(婿殿)が呑会で遅く為るから、夕喰を一緒にどう?」と云う娘からのメールに壱も弐も無く、OKを返す。 待ち合わせ場所は東京駅と云うので、御店は「ヴァン・ドゥ・ヴィ」に決める。 双方が帰り易いと云うのも此処のアドヴァンテージだが、プライスがリーズナブルなのも魅力だ。 ま、其の分、ムードに乏しいのだが、娘相手に問題無い。 18時なんて早い時刻(17時開店)では、未だ昼営業のカレーの匂いが漂うが、悪いもんじゃない。 蛾が入って来ると灰皿で、元気の良いソムリエールさんが捕まえる(笑)。
彼女に御願いした1本目は、シャトー・グリュオ・ラローズ。 ラ・ダム・ド・モンロ-ズと悩んだが、98年と云うヴィンテージに敬意を表して、サン・ジュリアンの雄(2級格付)を選択。 95、96年程では無いが、97年よりは良い年かも。 ヴィンテージに関しては一寸勘違いして、ソムリエ小母さん(そんな感じ(笑))に指摘されて仕舞った。
娘相手に奮発しても… いやいや、嫁に出したら、中々、そんな機会も無い。 娘と二人でグラスを傾けるのは、半年振りで、結婚式以来初めてだ。 我々にしては「高級ワイン」で、期待が高まる。 グリュオ・ラローズと聞けば、重々しくタニックで…と云うイメージが付き纏うが、97年に新しいオーナーに代わってからは、徐々にエレガンスの増したボトルにシフトして来た、と聞いて居る。 此れはその翌年のボトルと云う事に為る。 セパージュは、カベルネ・ソーヴィニョン57%、メルロー31%、カベルネ・フラン7.5%、プティ・ヴェルド3%、マルベック1.5%。
グラスのガーネットカラーは深く濃く、少し紫が入る。 ブラックベリーやプラムの熟成香たっぷりのグッと来る力強いブーケはワイルドですら有る。 そっと口を付けると、やっぱタンニンつぇ~。 だが、思った以上に柔らかく、甘ささえ潜む。 果実のイメージには、熟成感と共にジューシーな若さも有り、フレッシュな酸味と相俟って、此れは間違い無く、飲み頃でしょう。 徐々に口の中に広がるバルーンな雰囲気がシームレスに余韻に繋がるので、非常に気持ちが良い。 期待を裏切らない美味さで、サン・ジュリアンの真骨頂を観た想いがする。
98年のグリュオ・ラローズでは、未だ早いと云う印象を持つかと思ったが、タイミング的にはとても良いのではないか、と感じた。 出来の良い年のグリュオ・ラローズは、超熟タイプと云うが、98年モノはボルドーのヴィンテージチャート程のクオリティには、為らなかったと云う記述も見付けた。 逆に其れが、この日を飲頃としたのかも知れない。 グレートヴィンテージの2000年辺りだと、未だゞなのだろうが、98年なら此処数年の内に飲んで仕舞う方がベターだと確信した。
今日のワイン 其の435 ― 2010/05/29 16:05:03
アンティノリ ティニャネロ
Tignanello / Antinori 2005
Tignanello / Antinori 2005
娘と飲んだ「ヴァン・ドゥ・ヴィ」での2本目は、ソムリエ小母さんに壁に陳列して有るボトルを指して、「あれを…」
ティニャネロは、4年前に1回だけ都庁に有ったラ・テラッツアで頂いて居るが、アンティノリの元祖スーパートスカン(何処かの販社の広告見たいだ)。 前回は2000年、今回は2005年だ。
サンジョヴェーゼ85%、カベルネソーヴィニヨン10%、カベルネフラン5%と云う数字は如何にもなセパージュだが、此れがスーパートスカンの草分的存在。
紫を帯びたチェリーレッドのカラーがグラスに透ける。 若さを充分に湛えた美しい色合いだ。 1本目が、グリュオ・ラローズだった事も有ってか、ボルドーの赤や黒の果実のブーケを強く感じる。 カシスやブラックペッパー、樽香由来のオーク香にフレッシュな花のニュアンスも漂って居る。 この辺りが、2005年と云うヴィンテージを物語って居る様だ。
口に含めば… 此れは我々父娘の好みのボトルで有る事をしみじみと感じる。 スパイシーな風合いに溶け込んで居るのは、ダークチョコレート、コーヒー、マーマレード、アプリコット…其れに檜の香り。 少しスモーキーな印象や、ミネラル感も適切だ。 タンニンはガッシリして居て、揺ぎ無いイメージなのだが、熟成感がやや足りない乍、果実が確りしたコアを成して居るので、バランスが崩れない。 初口では落ち着かない酸味が、収まって来ると滑らかさが増して、急に大人に為る雰囲気だが、グリュオ・ラローズに比べると、飲み頃には未だ数年、いや、2,3年の時を待った方が良いとも思う。 だが、コイツには未完の美味さが有る。 飲頃に為る前にも、飲頃が有る見たいな… こんなタイミングに抜栓して見るのも亦、面白い。
余談だが、ティニャネロの意味が中々判らなかったのだが、アンティノリ公爵家の長女の名前と云う記述を見付けた。 1970年がファーストヴィンテージだから、ティニャネロ御嬢さんも、もう御婆さんかも知れないね。