今日のワイン 其の4232010/05/05 09:15:52

シャトー・ラネッサン
CHATEAU LANESSAN HAUT-MEDOC 1990

今日のワイン 其の423

ゴールデンウィークの真最中に、常連氏のリクエストで渦に持ち込んだ2本の内の1本。 内緒だが、実は処理に困って居たボトル。 頂き物なのだが、どうも管理が良く無かったのではないかと疑われる。 市場価格が1万円以上もするのは、長熟タイプで、グレートヴィンテージの1990年だからだろう。 小市民は思う、このプライスのボトルを何時迄も好い加減な環境で暖めて(文字通りね)仕舞っては為るまいぞ… とは云っても開けて、ダメねぇ…とひとり項垂れたくない。 皆でワイワイと云う状況なら、「駄目だぁ」と笑えそうな気がして、チャンスを伺って居た。 そんな曰く付きのボトル。
ラネッサンは、日本では御馴染のボトルで、結構彼方此方で見掛ける。 オー・メドックの所謂、クリュ・ブルジョワ級のシャトーだが、「サンプルを提出しなかったので、格付けされなかった」、「『今度、格付けの見直しが有れば、5級にランクされる』と誰かが云った」と云う文言が、必ず広告の何処かに書いて有る。 サン・ジュリアンの直ぐ南のロケーションは、確かに悪くなさそうでは有る。 セパージュは、カベルネ・ソーヴィニヨン70%、メルロ25%、その他カベルネ・フランやプティ・ヴェルドらしい。
疑って抜栓するものだから、ソムリエナイフのスクリューを通じて来る感触は、コルクの質を考えると少し頼りない感じがする(様な気が…)。 ワイングラスに注ぐと、古酒の色で有る。 橙から臙脂色に向かい、透明感が低く、エッジは褐変し掛けて居るのかも知れない。 この時に気が付いたのは、ボトルのインサイドにこびり付いた澱の量… 凄いね。 ブーケは弱い。
テイスティングで口に含むと… 死んでは居ない様だが、相当にヘロヘロだ。 到着タイミングの加減で反対側のカウンターに陣取ったTさんが嗅ぎ付けて来て、試飲すると、一言、「ありゃ、イッちゃってますね」… うーん、確かに… でも、其処儚と無く、脈を感じる。 15分もすると脈が多少はっきりして来る。 詰まり、開いて来る印象を感じるのだ。 兎も角、時間が掛るらしい。 この腐葉香は好きでは無いので、東京ガスの匂いに思えて仕舞う(笑)のだが、其処から仄かに甘い香りが、「気が付いて頂けませんか」と囁く。 30分もすると、こう云うシニアなワインが好きな方に受ける様な味わいが出て来る。 ワイン好きが使う用語の「破(や)れたワイン」と云う奴だ。 覇気の無く為ったタンニンは、其の甘さの源かも知れない。 或る意味、此れ以上繊細な味わいは無いのかも知れない。 或いは逆にこの程度の実力なのかも…
このラネッサンのオールドヴィンテージを販売するホームページに以下の様な注釈が有るのを見掛けた。

古酒の色と味わいは、若ワインとは全く異なります。慣れない方はお薦めしません。(熟成ワインの為、色はレンガ色の風合いを帯び、香りはなめし革や腐葉土等の熟成香がします。) ※ワインが開くのに抜栓後5時間程度かかる場合がございます。

だそうだ。 もっと、更にゆっくり、飲んで遣れば良かったのかも知れない。 ワインエキスパートのCさんに飲んで頂きたかったかも。 95年とか96年を3000円で頂けるなら、亦、トライもして見ようが、90年を5桁で買う気には為れないね。 あ、79年で8000円とか78年、9000円ってのが有る。 買って見る? > Tさん