仏の座2010/03/13 16:11:04

日出時刻が早く為り、駅へ向かう目を楽しませて呉れる様に為った。 裏道沿いの空き地に、早くも仏の座の花が開いた。 処が意地の悪い事に恐らくは最後に為るで有ろう、降霜に震えて居た。 1分前に?オオタカ?を撮った儘、カメラモードに為って居た S001 を向ける。 思わず、払って遣りたく為る霜粒だ。

仏の座

子供の頃には、サルビアと同様に花を抜いて蜜を吸ったものだが、毒は無いがコイツは喰えない。(胃潰瘍や鎮痛に薬効作用が有るらしい) 我が敬愛する牧野富太郎先生は、実際に煮て喰された様で、「うまくないものの代表はまさにこの草であることがわかる」とし、「まあ御免蒙るべきだね」と書かれて居る。 と云うと、「春の七草のひとつでしょう?」と訊かれる。 実はあれは「小鬼田平子(コオニタビラコ)」なのだが、「仏の座」と呼ぶのは、七草の時だけに為って仕舞った様だ。 厄介な話なのだが、「小鬼田平子」はキク科で、仏の座はシソ科の二年草だ。 (茎が四角と云う特徴を確り持って居る) 和風な名前だが、外来種。 しかし、相当昔に遥々渡って来たらしい。(原産地は諸説有る)
花名の由来は見て直ぐ判る様に、花下の葉が茎を巻く様に包んで居るが、此れを「蓮華座」に見立てたものだ。 同じ様に其の見掛けから、「三階草」とも呼ばれる。 花よりも葉形から命名されて居る。 だが、小さい花を良く見ると、シソ科らしい面白い形をして居る。 鰐が口を広げた様にも見える。 花の上部の蓋にも見える部分の内側に橙色の雄蕊が有って、花蜂等の背中に花粉が付く仕掛けだ。 筒状の花なので、長い吸収管を持つ花蜂等が、悪戦苦闘する間に後ろからたっぷり花粉を擦り付ける。 尚、閉鎖花(開かないで自家受粉する)が可也有る事でも知られて居る。 更に種には「エライオソーム」と云う物質が付いて居る。 此れは蟻の好物の様で、積極的に運んで貰える。 だが、直ぐに此れが落ちて仕舞う。 すると、蟻は種を巣に運ぶ事無く、ほっぽり出して仕舞う。 此れは種には好都合だ。 この様にサバイバルに長けた植物と云えよう。 だから、あんなに繁茂するのだ。 以前に取り上げた「酢漿草(カタバミ)」や「片栗」の種にも「エライオソーム」は付いて居る様だ。
学名は Lamium amplexicaule Lamium 。「Lamium(ラミウム)は、ギリシャ語の『laipos(のど)』が語源で、葉の筒が長くてのど状に見えることに由来する」そうだ。 「amplexicaule」は、「抱茎葉」と云う単語だそうなので葉と云う説なのだが、喉に見えるのは、花の方だと思う小生で有る。

俳句好きの方が、「仏埜座」とエスプリを感じる当て字をされて居る。

   春泥や 跳び越す先に 仏埜座

誰かが2月8日の誕生花と(勝手に?)決めた様だが、花言葉は「調和」。
尚、良く似た仲間の「姫踊子草」を間違えて紹介して居るホームページも有る様だ。 確かに仏の座の属も「オドリコソウ」では有る。

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