Collection of Essays by Claris Two

久し振りに日本橋の「たいめいけん」に伺う。　並んでいらっしゃる客層は随分違いそうに見えるが、向かいの「ますたに」に負けない行列の長さだ。　　ますたにのスタッフは忙しくて、外を見る余裕等無いだろうとは思い乍も、つい背中を向けて、たいめけんの行列に加わる。　席数が多いので、回転はそこそこ悪く無い。　この日は、珍しく？オフィスの同僚と御一緒。　メンチカツだの、ボルシチだのをオーダーする諸姉の間で、「コールスローとラーメン」は、受け狙いと思われた様だ。

此処のコールスローを頂く度に、干葡萄の入った半世紀前の給食のコールスローを思い出す。　味や匂いの記憶は、脳味噌に直結して居るそうだが…　古い味わいのスープには、矢張、パウダー状の白胡椒が似合う。　海苔の上からでも委細構わず、振り掛ける。　栄屋ミルクホールの様にＳ＆Ｂの瓶では無くて、ガラスの小瓶に移し変えられて居る。　屹度、ギャバンだろう。　以前よりも少し野菜風味が引いた様にも思えるが、ホッとする味わいのスープに柔らかく茹でた細麺が絡む。　赤い縁取りのチャーシュウは、少し味付けが不足気味だが、悪くは無い。　メンマの量が増えたかな？　色も味も濃く為った様で、特筆する程では無いが、ベターかも。　チャーシュウの上にチョコンと乗った、鞘豌豆は、流石に茹で過ぎ。　どうでも良い一鞘だけに、却って気に為った。　葱のカットは細いし、匂わないので、スープを最後迄楽しめる。　ほぼ完飲して仕舞い、「身体に悪いですよ～」の合唱が聞こえて来る。

酒粕を仕込んだ味噌中華そばをもう一度頂きたく、オフィスからの帰りに寄り道。　何しろ、大廻りの定期経路だ。　奥さんの居ない夜の寄り道と云っても構わないだろう。　今にも降り出しそうな空模様だったが、とうとう白い物がチラつき始める。　この夜は行列が左に伸びて仕舞った。　二番目の人が間違うとこう為る。　並び方が書いて有るのだが、気が付かない方も少なくない。　そんな時に注意するべきなのか、何時も迷う。　この夜は左隣の御店のシャッターが降りて居たので、何も云わなかった…

未だ玉子麺がひとつ有ります、との事だったが、２回目はマサ配合麺で頂きたかったので、福を逃す。　其れにしても絶妙な辛さ具合だ。　そして、酒粕と味噌のコラボが良いねぇ。　マサ配合麺も玉子麺に遜色なく美味しい。　まぁ、このスープなら、そう麺を選ばないだろうが。　細蘖や糸唐辛子、西尾さんの独特のチャーシュウ（好評ですね）が、味噌のスープにとてもマッチする。　そして、抑えて使った山椒の風味がキリっと全体を引き締めて居る。　連日頂いた甲斐が有り、大いに満足して帰路に着く。