龍のひげ@水戸2015/09/28 01:01:00

カーナビの目的地に涸沼をセットして、水戸で最初に訪問したラーメン屋さんの「ふる川」の駐車場を出る。 借りたチビ車はトヨタのヴィッツだが、小気味良い走りだ。 普段は寛めのセダンなので、此れは如何にもコンパクトカーって感じで楽しい。 道も空いて居るので何時の間にか速度が上がるが、一定の速度を越えると「安全運転しろ」とカーナビが叱って呉れるのね(笑)。 20分程で目的地の水戸八景(徳川斉昭公に依る選定)のひとつで有る、広浦の駐車場に滑り込む。
龍のひげ@水戸-04

雨は上がり薄日が射して来たが、斉昭公自筆の書で刻まれた名勝碑(181年も前の碑なので、可也摩耗して居る)の向こうに筑波山は姿を隠した儘だ。 右側は「広浦の秋月」の碑で此方も斉昭公の揮毫。
龍のひげ@水戸-01

涸沼の畔で釣人や水上スキーを眺めて日没を待って居ると、徐々に雲が取れて綺麗な空に。
龍のひげ@水戸-03
でも、筑波山は辛うじて霞の中にシルエットが見える程度で、被写体には為って呉れなかった。

龍のひげ@水戸-02
丁度彼女の釣竿の先端の位置に筑波山が有る…筈。

龍のひげ@水戸-05
岬の根本の丘に繁る樹葉を透かして落ちる御日様を見送る。

天気が回復したので、小1時間も待つと東の空にこんな感じで名月が浮かぶ筈。
龍のひげ@水戸-06
だが、8時間後の午前2時には亦此処へ戻って来たいので、余り前景の冴えないシーンの撮影は割愛して、水戸市内に向けて走り出す。 広大な畑の向こうから中秋の名月が姿を現し、此れなら未明も晴れだろうと意気揚々と夕喰と決めた御店に向かう。
「食べログ」での第2位の「龍のひげ」には開店10分前に到着したのだが、駐車に手間取り(店側の駐車場は難しい)、12番目に為って仕舞った。 でも、最初のロットで入れて貰えました。 醤油スープには海老油や煮干が使われて居るので、「つくば茜鶏の塩」を御願いした。
龍のひげ@水戸-07
此がスタンダードらしいが、煮干レスの一杯。 スープの塩らしさは弁えた物で安心して頂ける。 揚玉見たいなのが浮いて居て香ばしい。 鶏風味も充分で塩との併せ具合も悪く無い。 「つくば茜鶏」が何れ程の鶏なのかは存じ上げないが、美味しい。 だが、特徴に乏しい印象も持った。 他でも有りそうな感じと云うのかな。 一方、麺は結構なハードボイルド。 デフォで此処迄と云うのは余り無い。 でも、小生は割と好みで嬉しく頂いた。 醤油だと首を捻るのたが、塩だと嵌まる見たいにも思えた。 醤油スープでも此の固さなんだろうか。 穂先メンマは大好きで沢山入って居て、いいね。 鶏チャーシュウも美味しい。 味玉は…評価出来ない性質で…判りません(笑)。

店の外へ出ると冴えた空に十五夜御月様。
龍のひげ@水戸-08
XZ-10 では心許ないので、E-M5Mark2 で何枚か撮った。 え? 何か変ですか(笑)?

カーナビが案内して呉れたホテルに戻るルートに従ったら、昼に訪ねた「ふる川」の角を通った。 此処は夜は営業して居ない。 ホテルにチェックインして、即御就寝。

広浦の秋月2015/09/28 10:10:00

今回の旅の切掛に為ったのは、浅草橋のグラシアで知己を得たオルガニストの森さんのリサイタル。 水戸芸術館で月曜日の夜に行われる事に為って居た。 前夜の日曜日が「中秋の名月」で、当日の十六夜がスーパームーンに為る。 折角の訪問だったので、水戸近辺で月を撮るのに適した場所をチェックすると御誂え向きの処が有った。 江戸幕府最後の将軍で有る徳川慶喜の実父、水戸藩第9代藩主の徳川斉昭(とくがわ なりあき:諡号は「烈公」)が選定した「水戸八景」のひとつ、「広浦の秋月」。 斉昭公が詠んだ漢詩、「水戸八景」は「月色玲瓏(れいろう)たり広浦の秋」と読み下される。

大空のかけをうつしてひろ浦の なみ間をわたる月そさやけき

涸沼の北岸の東端に位置する広浦から見る涸沼は特に美しいとされ、親沢の岬越しに筑波山を望み、其上に輝く秋の名月を佳しとした。 当時の親沢の岬は現在よりも涸沼に突き出て居て、恰も「天橋立」の様で有ったと云われて居る。 其処に松並木が乗り、月夜に更なる趣を添えて居た物と推察される。 天保11年(1840年)の十三夜(旧暦9月13日)、斉昭公は広浦の名月の観賞に側臣らと共に船で広浦を尋ねたと云う記録が有る。 新暦換算だと10月8日に為るが、此夜の名月は21時過ぎに正中(水戸で計算)し、月齢は12.4程だ。 そ、そうか、斉昭公の愛でられた名月は十五夜では無く、十三夜だったのか! 其時に斉昭公が詠んだ和歌が残って居る。

浪の色も空にかよひてすめる夜の 月の光も広浦の月
広浦の浪にやどして遠方の 山のあなたの月を見るかな

矢っ張り、筑波山の名月を詠まれて居る。 当夜に筑波山の上に名月が掛かる時刻は、午前3時20分頃。
広浦の秋月-02
此れは「天体山望」に依る其のシミュレーションだが、構図的にも良いし薄明迄の時間も充分だ。 流石は斉昭公、良く弁えていらっしゃる。 だが、此の時刻迄起きて居ないとこうは見えないので有る。 小生ももう1回広浦迄行かなくては…片月見/を避ける為にも、ね。 尚、2015年の十三夜は10月25日なので、26日の未明を待つと此の位置関係に為る。
一方、此夜の様に十五夜だと名月が筑波山の上に来るのは午前4時頃に為る。
広浦の秋月-01
もう少し傾いた位置の方が構図も良いし、湖面反射等も麗しいのだが、天文薄明に追い掛けられ、空が白んで来る。 其れでも、こんな構図で撮る心算で遣って来たのだが…


午前1時に起きて、2時丁度に再び広浦に到着。 途中で兎が飛び出して来たので、急制動を掛けたらカーナビにうんと怒られた…兎に云ってよね。 日中に下見をしたのは正解で何事もスムーズだ。 だが、ほぼ全天の雲…処々に隙間が有る位で、宵の好天は何処へ行って仕舞ったのだろう。 時々雲が引くとオリオン座や冬の大三角形も見付かる。 名月は雲から出たり入ったりだが、徐々に雲間の隙間が狭く為って行く様だ。 オイオイ、どう云う事なのかね… 其れでも、機材を背負って湖畔に向かう。 畏れ多くも保勝碑の脇に三脚を立てさせて頂いた。 碑は1m程の高さの石垣台座の上に有るし其処はフラットなので、撮影には最適なのだ。 丑三つ時にぼっちは怖いと思って居たのだが、こんな時刻でも釣人は沢山来て居らして、ヒュンヒュンと竿を撓らせて糸を飛ばして居る。

広浦の秋月-03
雲間から覗き込む様に現れた処をドラマチックトーンを掛けて撮った。

広浦の秋月-04
スポットライトの真中に釣人を入れて見たのだが…策に溺れた感が(笑)。

まぁ、こんな天気でした。 最新予報では何処も晴れだったし、後刻に「天気実績」をチェックしても晴れだよ…嘘、雲量8以上だったもん。

大洗海岸の日の出2015/09/28 12:12:00

「広浦の秋月」の碑を離れる頃はに可也明るく為って居た。 雲が多く日の出は見られ無いだろうと思い、予定よりもノンビリと大洗海岸へ向かう。 カーナビの云う様に走れば、20分程で到着。 大洗磯前神社の駐車場が6時半に為らないと開かないなんて知らなかったので、益々遅く為って仕舞った。 漸く防波堤の上に出ると水平線が明るい。 此は御日様を拝めるかも、と思い直して時計を見ると日の出3分前。 急いで砂利だらけの浜に降りて、多くのカメラ人の脇に… 水平線付近の雲の所為で光輝が射さず、太陽が顔を出す位置が判らなかったのだが、小生の計算ではもう少し南の筈。 で、少し寄った途端に「神磯の鳥居」の真ん中から太陽がヌッと出て来た。 其の途端、皆さんが三脚を持って小生の廻りに押し寄せて来られて、一寸怖かったね。 どうも誰かさんの「当てに為らない断定」に従って待って居らしたらしい。 鳥居の角度(冬至の太陽が昇って来る方向を向いて居る)を計算に入れないとねぇ~と、鼻をひくつかせる(笑)。 でも、すげぇタイミングだったね。
大洗海岸の日の出-02
まぁ、誰にでも撮れるフォトで、どうと云う事も無いフォト(笑)… 三脚を立ててスローシャッターを切るとか、波飛沫がオーバーラップするとか、欲しいよね。

直ぐに御日様は雲の中へ御隠れあそばされたので、次に現れる迄、大洗磯前神社に御礼参り(笑)。
大洗海岸の日の出-03
登りましたよ、此の百段。 境内はパワースポットだそうで、ちゃんと本殿に御参りして来ました。 階段へ戻ると、思ったよりも早い太陽の再登場ぽくて焦って防波堤へ戻る。

大洗海岸の日の出-04
光筋を鳥居の真中に…と思わないではなかったのだが、陳腐過ぎるかとズラして見た。 シャッタータイミングが15秒遅かったかも…

朝喰は此処と決めて居た。 「海鮮どんぶり亭」、6時から営業して居る。 店頭のメニューフォトや店内の品書を吟味して、「三色丼」。
大洗海岸の日の出-01
気さくな御主人が「秋刀魚の焼魚定喰」とか、「鮟鱇鍋始めました!」(笑)とか、云って呉れたのだが…此れ。 最初の御客様サービスって、シラスも(嬉)。 出汁醤油で頂いたが、美味しく頂きました。 気分も味の内なのだ。

月曜日の朝なので、水戸市内へ向かう通勤車も多い。 とは云え、30分程でホテルへ戻って、仮眠。 流石にホテルの朝喰はパス…