今日のワイン 其の8662013/09/23 07:37:10

モンテヴェルティーネ ル・ペルゴーレ・トルテ
Le Pergole Torte Montevertine IGT Toscana 2008

今日のワイン 其の866-1
Mさん御夫妻が連れて行って下さったワインレストランには、沢山のペルゴーレ・トルテの空瓶が飾られて居た。 此のエチケットならそんな事もしたく為るよね。 都庁に有った「ラ・テラッツァ」を亦懐かしく想い出して居ると、「2本目は此れにしましょう」と御二人が仰る。 小生が此のワインを特に好きだと云った事を覚えて居て下さったのだ。 其れで此の店…だったのだ。 なんて、嬉しい事だろう。 恐縮頻りでは有ったが、「60年に一度」との御好意に有難く甘える事にした。 実際は幸亭等で毎年、懇情を頂いて居るのだが。
小生は此のワインには特別な想いが有る。 上述の「ラ・テラッツァ」で、初めて「語り掛けて来る」ワインに出遭った。 其時の気の持ち様に応えて呉れたり、外方(そっぽ)を向かれたり、笑われたり、癒して呉れたり、激励も有ったかも… 「ラ・テラッツァ」のリストプライスは仕入れた年代の関係で、小生でも何度もオーダー出来るプライスだった(ブログにも書かずに内緒にして居た(笑))ので、「全部、XXさんが飲まれました」と云われた物だ。 何ともラッキーな話だった。 其れ以降も何かイベントが有れば、此れを選ぶ。 娘と良く飲んだので、そんな懐かしさも有るのだろうが。

今日のワイン 其の866-2
紫を凝縮して行くとこんなカラーに為るのだろう、と想わせる濃いルビーを湛えるグラス。 語り掛けて来る迄に少々時間が必要なのだが、御店主が1本目のタイミングで「抜いて置きましょう」と抜栓。 流石ですねぇ… ブーケを窺う時からドキドキする。 偶にしか会えない意中の君の手に触れる様な高揚感を何時も感じる。 此の歳に為るとワインにしか其れを感じない(屹度嘘)のもチト淋しいが。 此のワインのイメージは「紫」。 もし、紫と云う色自体に香りが有るとすれば、此のワインのブーケに違いない。 紫には好きな花が多いが、想い浮かべるのは時々で異なる。 デュランタだったり、紫露草、菫の事も有るが、娘の好きなオキザリスの事は無いなぁ(笑)… だが、此等の花の香りが此のワインのブーケに近いかと云えば、そんな事は無く、小生の勝手なイメージ的妄想だ。 ブーケは仄かに甘く、囁く様なイメージのベリーは本当は赤い見たいだ。 そんなシンプルな物じゃ無いが、惚れると言葉が見付からなく為って仕舞う。
早目に抜いて頂いて居たのだが、実は少し心配して居た。 08年を頂くのは初めてだが、若いボトルは時にタンニンが落ち着いて居ない事が有るのだ。 ヴィンテージに依って、飲頃が凄く違うと云う嬰児しい御嬢様なのだ。 其れを知らずに抜栓するから、ペルゴーレ・トルテに「硝子の様な」とか云う形容詞が付いて仕舞う。 「柔らかい」タイミングで開けて遣ってこそ、本来の味わいに触れる事が出来る。 扨、13年に頂く08年は如何だろう。 そっと口を寄せる… あぁ、ソフトな印象だ。 後で調べたのだが、08年は「早飲み」のタイプだった。 ネットで「13年~28年」との専門家の御意見を見付けた。 小生の印象では20年頃迄が良い様に思うが、13年の「今」もベストな状態で頂ける。 しっとりとした花のニュアンスに一寸だけインファントなスイートが重なる独特の味わいが、小生の感性に共鳴する。 「先迄はやんちゃして居たんですよ」と澄顔のタンニンの恩着せがましさに丁寧に御礼を云う。 酸味やスパイスも居る場所とタイミングを間違えず、シナリオ通りに舞台に出て来る。 要素の全てが優しくて、覇気が有り、賢い、そんなワインなのだ。 サンジョヴェーゼを此処迄昇華させるモンテヴェルティーネに謝辞を送りたい。

Mさん御夫妻の心遣いが身体と気持の隅々に染みた1本。 有難う!