今日のワイン 其の8292013/05/13 01:01:00

バローロ アゼリア
Barolo 2008 Azelia

今日のワイン 其の829-1
4月半ばの或る夜。 一度藤沢に戻ったのにも拘わらず、全ての予定を投げ打って湘南新宿ラインで代々木に向かう。 鞄に忍ばせたのは、大好きなバローロ。 めじろに持ち込むボトルとしては、一番奮発した。 1500回も通ったで有ろうめじろだが、此れが最後と決めても居た。 話なんか聴かなくても判って居たし、最早、覚えも薄く為って仕舞った。

今日のワイン 其の829-2
厚さの無い部分のガーネット色にはオレンジが随分と掛かる。 やや甘いニュアンスだが、ネッビオーロの風雅なブーケに樽香がミックスされる様子が気持ち良い。 逸る心の臓を優しく、力強く宥めて呉れる。 パワフルで優雅なのが、此のバローロの持味だ。 足の長さに見合わぬ切れの良さも特筆物。 タンニンは結構確りして居て、確りせよと鼓舞して居る様だ。 ミネラルも充分で酸味と相性の良い渋味に依って生じる適度な引締感も其れに加担して来る。 だが、樽香由来のバニラや優しいスイートを弁えたチェリーやオレンジのイメージが、労って呉れる。 中々、此の夜に見合ったボトルだった。 デキャンティング・ポワラーを持って居て良かった、と云う状況でも有ったかな。

久し振りに大西さんが湯切をするのを眺めて居ると、ガーネット色のグラスが走馬燈に変わる。 四半世紀を飲み干して、店内を見渡すと滲む事、悉皆。 もう、此処に来る事は無いのだ。 長らく預かって頂いて居たワイングラスを最後に鞄に終うと、其処は愁嘆場と化した。

今日のワイン 其の8312013/05/13 02:02:00

クロデュヴァル クラシック ナパヴァレー カベルネ・ソーヴィニヨン
Clos Du Val Classic Cabernet Sauvignon 2009

今日のワイン 其の831-1
長らくめじろで耐え難きを堪えて来た力丸君を慰労すべく、呼び出したのは新丸ビルの World Wine Bar 。 あのカタストロフィに続編が有るとは駭然物。 難渋の界域を何処迄広げるのだろうと暗澹たる思いだ。 そんな気分を拭いたく、小生が最も好きなボトルのひとつをチョイス。

今日のワイン 其の831-2
「小さな谷の小さな葡萄畑」と云うウィナリー名称と3人の女神と共にエチケットに有るのは、カベルネ・ソーヴィニヨンだけだが、其れは86%。 カベルネ・フラン9%、メルロー3%にプティ・ベルドが2%だけ入る。 「リターンマッチ1986」の神話を持ち出す迄も無く、秀逸なワイナリーのスタンダードボトル。 其れで有っても、パワフルなエレガンスと云う持味は充分以上に感じ取れる。 焼肉からフレンチ、イタリアン迄、どんな肉でもイケるとスレンダーな力丸君にステーキを勧める(笑)。 鼻を近付けた彼が、思わずおぉと引く程の凝縮力が込められたブーケには、黒果実が漲って居る。 濃紫紅のカラーは、指先に重みを感じさせる程だが、其処にも優美さが潜む。 カシスとブラックチェリーをコアにスパイシーなニュアンスが絡まる。 樽香由来だろうか、ウェルダンの小麦粉の風味が底から上がって来る。 流石のヴィンテージなのかな、最後迄、此のイメージを崩さずに引いて行く。 CPは最高だろうが、東京のバーで飲んでは仕様が無いね。 でも、次回はスタッグス・リープ・ディストリクトを是非。

此の後、二人で暖簾の仕舞われた蔦に上がり込み、壱岐っ娘を飲んだら平塚迄乗り越すと云う失態を…