撮って見た 其の562012/11/04 13:37:16

宝鐸草(ホウチャクソウ)

甘野老のフォトテイクを済ませて、広場を巡って居ると…ん? 此れは甘野老では無いな、と足が止まった。 他所の葉を敷いて楽をして居る?様に咲くのは、宝鐸草だろう。 茎が分岐して居るし、笹に似た互生の葉や合着しない花被片(此のフォトでは良く判る)で其れと知れる。
撮って見た 其の56-1

宝鐸(ほうちゃく、ほうたく)とは御堂等の寺院建築物の簷先の四隅に吊り下げられた飾りを云う。 此れは風鐸(ふうたく)とも云い、元々は唐の岐王が竹林の東西南北に吊るして、内部の触れ合う音や風向で吉凶を占った「占風鐸」の道具だそうだ。 風鈴の起源は此れではないかと云われて居る。 フォトは南禅寺の宝鐸でとても立派。
撮って見た 其の56-2

漢名も「寶鐸草」なので、其の儘、和名とした様だ。 甘野老の項で似た花に挙げて居るが、こんな近くに咲いて居たのね。 清楚でスリムな御嬢さんだが、甘野老と違って若芽は有毒(嘔吐・下痢)。 甘野老や鳴子百合に似て居るので、要注意と云うのは山菜採の常識だ。 手折ると淡い悪臭が有るとの事。
ユリ科(APG植物分類体系ではイヌサフラン科)チゴユリ属に分類される。 学名は「 Disporum sessile Don 」は、希臘語で「二重の種子」の意味。(丸い緑色の実が秋に不思議な青紫色に輝く)
撮って見た 其の56-3

狐の提灯(キツネノチョウチン)や淡竹花(タンチクカ)の別名が有るが、後者は中国名で「ホウチャクソウ」とも読ませるらしい。 花言葉は、追憶・よきライバル。
細かい話に為るが、「フィールドウオッチング3 早春の季節を歩く」(1991年刊)には、宝鐸草には2倍体と3倍体が有ると記されて居る。 「2倍体の花柱は花冠より長く、外に突き出している」との事だが、小生は見た事が無い。 此の花柱を風鐸の中に下がって居る風招(ふうしょう)と結び付けて、此方が本家的な話も有るのだが…
小さな個体を「姫宝鐸草」と呼ぶ事も有るが、種が違うのかは不明。 「黄花宝鐸草」は兎も角、「紫宝鐸草」は見た事も無い。 「稚児百合(チゴユリ)」と自然交配した種は、安直に「宝鐸稚児百合」と云う。


黄花宝鐸草(キバナホウチャクソウ)

デジカメを構え乍、堅香子の広場から戻って来て驚いた。 黄花宝鐸草が咲いて居る。
撮って見た 其の56-4
以前に一度見掛けた記憶が有るが、レンズを向けるのは初めてだ。

撮って見た 其の56-5
咲き始めは上を向いて居るのだが、開花する頃には俯いて仕舞うと云うシャイな花だ。