Collection of Essays by Claris Two

３２度だって？　湿度７７％だと！　店内から出て来た西尾さんは、プールから上がったばかりの様に、水も滴る…で有る。　そんなに暑くても足を延ばしたのは、この日は「モルディブの日」だからだ。

この国にも節の様に感想させて固めた喰材が有るそうだ。　其れを扱った「美味しんぼ」と云う漫画が付箋迄付けて、カウンターに置かれて居る。　日本の鰹節程には固く無いと仰るが、充分に「石」見たい。　店頭の張紙では、「モルジブ・フィッシュの鰹節」に為って居るが、本当はシーラカンスなのかも知れない（笑）。

「ざる中華」にも出来るそうだが、この日限りの一杯なら、基本の中華そばを暑い、熱いで頂く選択をすべきだろう。　スープの色は変わらないので、写真じゃ判りませんね、と西尾さんが笑う。　だが、スープを一口…　おぁ、「外国の味」がする。　いや、普段とは明らかに違い、少し渋みを感じる。　其れに慣れると、このスープの色々なパートに使ったモルディブの鰹節の特徴が掴めて来る。　基本的に石灰質、ミネラル感が高いのだ。　屹度、インド洋の海水には沢山の鉱物が含まれて居るに違いない。　だから、スッキリと云うのでは無く、結構、灰汁の存在を嗅ぎ取れる。　だからと云って、其れが不味いのかと云うと、そんな事は無い。　実は先日、３種類の鰹節の出汁をテイスティングさせて頂いた時の印象では、寧ろ期待して居なかった。　だが、この日のスープは「凄く」とは云わないが（御免なさい）、其也に美味しい。　エキゾチックと迄は行かないにせよ、鹿児島の節とは違う、風味と味わいが沢山有る。　そんな南洋の鰹節を手堅く纏めて、何時もの鶏と美味くミートさせた一杯。
麺やチャーシュウは何時も通りだが、細蘖は普段以上にジャキシャキした喰感が麗しかった。　面白い、チャレンジャブルな一杯、御馳走様でした。

前週の金曜日に、定休日で有る月曜日の夜にスペシャル営業をすると伺って、遣って来た。　会議が長引き、小田急が大雨で遅れ、１９時を廻って仕舞った。　「通常営業では無い」旨の貼紙が張られた扉を開けると、既に何人かの御客様がカウンターに。　常連のＲさんが、温めて置いて呉れた？奥のカウンター席に有り難く座る。　この夜は、鵠沼海岸に有る「モッキン堂」とのコラボ営業との事で、其処のマスターの「ダイラ氏」と芳実オーナーの二人が厨房に立って居る。　料理とカクテル等はモッキン堂の担当で、麺とワイン等が渦が担うと云う形の様だ。　「麒麟のフリー」を芳実オーナーに御願いすると、ダイラさんが栓を抜いて呉れると云う感じだ。

この夜の摘みは、黒板に書いて有る。　難しくてとても覚え切れないので、芳実オーナーにＳ００１を渡して、フォトテイクして貰った。　で、Ｒさんに御願いして頼んで頂いたのは、「スズキと枝豆のゼリー寄せ＆とこぶしウォッカ漬け」と「ホタテと甘エビのピエトロサラダ」。
おぅ、丸でイタリアンだかフレンチだかのオードブルを頂いて居る様だ。　枝豆を裏漉しして、ムースに仕立てて、ゼリー状のスープで纏めて居る。　其の下には鱸のムニエル。　添えられて居る常節は、ウォッカ漬…　仕舞った、断酒中だった(笑)。　此れは美味！　断酒中で、ワインを頂けないのが、恨めしい。　もう、一皿のピエトロサラダは、帆立と甘海老以外にイクラ、胡瓜、トマト、大根、人参、サニーレタス等がたっぷり配らわれて居り、ヘルシーメニューだ。　素材もドレッシングもグー。

もう１本、０．００％のビールを飲んだ後に、御目当てのスペシャルな一杯を頂く事にする。　あのガラスの器をキンキンに冷やして、其処に盛り付けられるのは、「夏野菜の洋風冷し中華」。　考えた末に、このネーミングに落ち着いたそうだが、将にそんな作品だ。　ソースの基本の味付けは、シーザースドレッシングだそうだが、仄かに甘く、柔和なテイストで、冷たいだけに其の優しさが丁度良い。　具沢山で、鶏、茄子、胡瓜、オクラ、パプリカ、そして一麺、いや一面を雑魚（ジャコ）が覆って居るが、どれもこのシーザー風味に良くマッチして居る。　もっと、雑魚が気に為る（味も喰感も）かと思ったのだが、香ばしいし、硬くも無いし、問題無く楽しめた。　茄子がしょっぱいのでは無いかと芳実オーナーが気にされて居たが、丁度、良いのでは有りませんか。　シコシコに締められた細麺は、とても作品にマッチした喰感。　限定にして置くのが惜しい様な、いや、限定だからこその味わいか…　いや、やっぱり、こう云う夜は外せない。

渦スタッフのＲ子ちゃんやＹさんも到着。　Ｎ子ちゃんや何時もの常連さんも紆余曲折の末到着し、得意の話術でプチナンパ(笑)？して、旧知女性陣の御不興を買う？？　モッキン堂の常連さんも遣って来られて、大賑わい。　両店の御馴染さんは、随分と被って居るのね。　今度、鵠沼海岸にも御邪魔したいものだ。　楽しい一夜で、ノンアルコールの小生も楽しませて頂いた。　この儘、素面で御酒の相手が務まる様に為れば、長生きも叶うのだろうが、やっぱ、其れは無理かなぁ…　３本のノンアルコールを飲んだら、何だか御腹がアップセットした感じで、Ｎ子ちゃんの帰るタイミングで、遊び人は放置して、御先に失礼して来た。　この週は３番電車の日々なので、夜更かしは禁物って、何時の台詞なんだろう(笑)。

小生の前を携帯片手に早足で歩く兄さんは、明らかに目的地が一緒。　同類？は、判るものなのだ（笑）。　丁度、Ｒ店長が暖簾を掛けるタイミング。　と、兄さん、行成、「テレビで見ました！」と大声で叫び、Ｒ店長を呆気に取らす。　「あのサワーラーメン」と呟き乍券売機を操作して、携帯の画面を見せ乍、「此れ、此れです。　ぶらり途中下車の奴。」と、Ｒ店長ばかりで無く、Ｈちゃんにもアピール。　では、小生も、其れを頂こう（笑）。　「良いんですか？ 煮干が沢山入りますよ」とＲ店長が気を遣って呉れる。

この年は此れが初めてのサワーだ。　カウンターの上で、Ｒ店長がブシュ～と掛けると、真白に…　少しシュワシュワが収まって（２枚目のフォト）から、口を付ける。　確かに、少し酸い感じがする。　炭酸の所為も有ろうが、大量の煮干の影響だろう。　だが、冷たい事も有って、気に為らない。　スープの絡んだ細麺を頂くと、更に美味しく感じられる。　決して際物では無い、本物の味わいが其処に溢れて居る。　麺を喰べ終わり、スープを掻き混ぜると、相当な抵抗感が有る。　スープにとろみは無いので、此れは煮干の粉末に依る物だ。　Ｒ店長の仰る通り、相当な分量の煮干粉が投入されて居る様だ。　其れでも、小生が頂けるのだから、処理が巧みなのだろう。　小生は煮干が嫌いな訳では無く、煮干の臭みや刳みが駄目なのだ。　其れも煮干の内か…
メンマはそうでも無いのだが、チャーシュウには、冷たいスープに落とす工夫が足りない。　油分が白く固まって仕舞い、本来の旨さが感じ取れ無い。　こんな印象は初めてだ。
兄さんは、「ＹＹから来たんです。美味しかったです！」と勇んで帰って行かれた。　良かった…